瑠惟夏の日記

日々の出来事を。

夜を生きる女性たちインタビュー -セクキャバ嬢Aさん-

私はフリーライターとして、何故かご縁あって夜職、つまりナイトワークをしている女性たちに取材する機会が多くあった。

今日はそんなナイトワーカーの女性たちから聞いた話を少し。

ここでいう男性客は基本的に「ナイトワーカーの女性たちが嫌いなお客」、別の呼び方を「痛客(いたきゃく)」のことを指す。

もし読んでいる方の中に「これ俺やんけ」という心当たりのある方は読むのはやめるべきか…いや読んだほうが良いのか…任せます。笑


キャバクラ、セクキャバ 、性感エステ、ソープなどサービス内容は幅広い業界だが、(細かく言うと数え切れないくらいあるのです。)口を揃えて女性たちは「男性なんてそんなもん」という言葉をかなりの確率で使う。

キャバクラは通常お酒を作り、横に座り男性客とお話をするサービス。

しかし客からは「ちょっとくらい触らせてよ」と言われる。

そしてセクキャバはキャバクラで出来ない「ちょっとくらい触ること」、大体胸へのタッチやキスが許されるサービス。

しかし客からは「下も触らせてよ」と言われる。

ソープはセクキャバでは出来ない「下も触らせてよ」が許されている。

しかし客からは「本番(避妊なしの挿入)もさせてよ」と言われる。


そういうのって、疲れますよね…と私が言うと皆んな呆れた顔をして

「男なんてそんなもんですよ」

と吐き捨てるように笑いながら言う。

おもてなしの国日本、とは良く言ったもんだが、痛客というのは基本のサービスを超えたおもてなしを提供しないと「サービスが良かった」と言わない生き物らしい。

もちろん綺麗に遊んでいく男性陣もいる。その綺麗に遊ぶというのは、決められたルールを守り、女性が不快に思うことなく接客をできる人という意味。

どのくらいの割合で綺麗に遊ぶ人がいるのか聞いたところ「1日2人お相手できれば幸せ」とのこと。


そんなに酷いのか?!と驚愕しつつ、同じ女性として興味を持ち、別の日に個人的に仲の良いセクキャバで働く女性に取材をさせてもらった。

ブログにすることは彼女から了承を得ている。彼女からは「これで一人でも私たちの本音が伝わるといいけど」と笑顔で引き受けてくれた。

これからは会話形式でお楽しみください。
年下の子でタメ口で喋ってくださいー!と言われたのでわたしタメ口で失礼します…

                                                            • -

瑠:綺麗に遊ぶ人ってそんなに少ないの?セクキャバだったら下以外はお触りとかOKなんでしょ?それでルール守れないって結構さ…ね…。

A:綺麗に遊ぶ人は大歓迎ですよ?人間として見れますから。でもルールを守らないで女の子を傷つける人はもう人間じゃない。人間だと思って見てないです基本。それかダメって言っても言葉の通じない3歳児ですね。理由説明しても理解できないんですよ。だからね、期待するだけ無駄。期待しないんですよ私たちは客に。

瑠:まってめっちゃ毒たまっとるやんけ…ごめんね仕事前に嫌なこと思い出させちゃって…あわわ…

A:あ!今日は休みなんで大丈夫です!っていうか休みにしました。昨日めっちゃムカつくことあって、お店の裏で泣いちゃったんですよねぇ。だから、今日はお休み。

瑠:えぇぇどうしたの?言いたくなかったらいいけども。

A:全然大丈夫です!まぁ、凄くついたフリー(指名の女性がいないお客さん)の人が酷くって。最初は普通にお話ししてたんですけど、まぁもう体を凄い雑に扱うし、めっちゃ胸噛むし、下も触ろうとするし…で、それって殆ど全部ルール違反なんですよ。

瑠:いや当たり前にダメでしょ。私でもわかるわ。

A:まぁそうなんですけどね。笑
で、注意したんですね?ダメだよって優しく言い続けたんです。それでも続けるし痛くてビックリしてダメだって言ってるからやめてよ!ってちょっと強く言っちゃったんです。

瑠:それで良いと思うけど。何も間違ってないでしょ悪いことやってるのそっちなんだし。

A:うん。そしたらね、向こうが機嫌悪くなったのか私に対しての暴言を吐き始めて。

瑠:うわ!最悪だ!なんだそれ!むり!なんだそれ!

A:「お前はこころが狭いから結婚できない」とか「彼氏が出来ても大した男じゃねえんだろ」とか

瑠:人格否定はキツいねー…

A:でもそれくらいは言われ慣れてるから平気ですよ。はいはい雑魚がなんか言ってるなって思っていれば良いから。

瑠:つよ…えらい…デザートなんか食べなよ奢るよパフェでかいの食べな…

A:わーい!!ありがとうございます!!笑
でも泣いちゃったのはその後で、もうね、凄かったです。

瑠:ええ何怖いんだけど…

A:「俺は結婚したくないけど、子供は欲しいんだよね。お前の子宮かせよ。卵はいらないわバカが産まれそうだから。金は払うよ?50円くらい?」って。なんかもう…

瑠:ちょっと…えっ…それは…え、まって社会人だよね?普通に電車とか乗って生きてる人だよね?え?そんな人間…許せないし、なにそれ。

A:なんか、すごく悔しくなっちゃったんですよ。こんなに嫌いな人で、生理的にもダメな人なのに、こんやつのために私何してんだろって。差別にもほどがあるっていうか。初めての感情でした。

瑠:なんで耐えたの?別の女の子に変えてもらうことも出来たじゃん?

A:だってこのタイプの人って、基本プライベートだと逆の立場の人なんですよ大体。言われてる側。だから違う女の子になっても同じような事を言って傷付けちゃうんですよ。沢山の女の子を傷つけたいって人だから、思い通りになるのが悔しくて、笑顔でしたよ私。頑張った。帰るときもブスブスって言われても「ブスじゃないよ〜」って。

瑠:もうやめて優しすぎるし、聞いてて辛すぎて私が泣く…(てか泣いた)

A:だからお見送りした後にダッシュで裏に入って、泣いちゃいました。もうとにかく悔しくて。

瑠:そりゃ悔しいよ。私でも泣いちゃうよ。言葉って残るよね記憶に。

A:大分残りますね〜でも仕事は残ってるので。その後すぐ呼ばれて違うお客さんにつきました。

瑠:偉いね。偉い。そういうお客さんって多いの?

A:多くはないけど、一定数いますよ。言葉の暴力凄い人。まぁここまで言う人はいないですけども。笑
あとは結構厄介なのが「俺は他の客と違うよ」って思ってる人ですかね。

瑠:隠れた痛客ってやつ?

A:ですです。まさしく。若くてイケメンだと女の子が喜ぶと思ってる人とかって、パキ(女の子へのドリンクの注文や指名、時間の延長を何もしない人のこと)なのに「今度遊ぼうよ」とか言ってくる。

瑠:それは良く聞く話だね!

A:まぁ大体そうですよね。笑
これを痛客って呼んじゃったら大抵の人が痛客になっちゃう!

瑠:それは綺麗に遊べてる人には入らない?

A:んーーー…冗談で終わらせる人は大丈夫ですけど。
しつこい人はしつこいですね。お店に来ないのに仕事終わる時間に連絡してきて、今終わる時間でしょ?まだ近くにいるから飲もうよ!とか。

瑠:あー。いけるって思っちゃってんだろうね。

A:まぁそう思わせるのも営業の仕方の一つですけどね。俺は若いからって自信があるんでしょうね。

瑠:で、どうするの?そういう時。

A:行きませんよ〜。お金かけてくれてるなら別ですけど。若いってだけで希少価値つくわけじゃないですから。夢の国はもう終わりです〜って感じです。

瑠:だよねえあくまでもお仕事だもんね。

A:そうですそうです。惚れるフリをする、相手を褒める、仲良くなったフリをする、また会いたいなと思っているように見せる。そういう夢の国。でも無課金じゃ会えない。

A:よく言われるのが、お店だと時間も限られてるし、お酒もあんまり飲めないから、外でならゆっくり話せるよ?ご飯も好きなもの食べに行こうよ!とか。

瑠:ふんふん。

A:え、それって貴方にしかメリットなく無い?って。

瑠:笑笑

A:時給分+指名料払って外で会ってくれるならもう外でも良いですよ?私べつに食べたいものも飲みたいものも自分で買うんで。ていうか好きなものは友達とか彼氏と食べたいんで。

瑠:まぁそりゃそうだわな。相席屋とかだと分かるけどね〜。

A:だからそこからどうお店に来てもらうのかってめっちゃ難しいんですよ。あの手この手で頑張ってます毎日。

瑠:いや私もさ、Aちゃんと話してて毎度思うけど凄い人当たりいいじゃんか。頭の回転も速いし可愛いしスタイル抜群だし。お姉さんびっくりだよ。それでもダメなのか。

A:そんなもんですよ〜男なんて〜

瑠:でた!みんな言うやつ!!笑
あ、それで私今回聞きたかったのがね、夜のお仕事をしている人達にとって「男性」ってどんな生き物だと思ってるのかなって。

A:えー!めっちゃ難しいですね!!!

瑠:やっぱり?!ザックリしすぎ?!

A:もう会いすぎててなぁ〜…私週5勤務なんで、ザッと計算しても…ええとスマホで計算しよ…大体1月150人くらいの男の人とお話ししてるんで。

瑠:げー!すご!

A:だからなぁ…本当色んな男性がいるなって…思って…

瑠:まぁそりゃそうだよなぁ…プライベートに支障でたりする?

A:恋愛は億劫になりました。あと疑い深くなりました。信用出来ない。出来たとしてもすぐ不安になっちゃう。あ、あと合コン行っても全く楽しめなくなりましたね!!!笑

瑠:合コンはつまらなくなりそう!何考えてるのかすぐわかっちゃいそう。

A:何考えてるのかっていうより、「この人女の子全力で持って帰ろうとしてんな」っていうのはすぐわかる様になりました。

瑠:あーそれ分かっちゃうのは、キツいね。避けるわ私なら。

A:瑠惟夏さんすぐ顔に出るからな〜!笑

瑠:えーー!!なんでバレてるの!!!こわいよ!!!笑

A:いや分かりますよ。笑
もう顔もそうだけど声のトーンも喋り方もめっちゃ分かりやすく変わるから。普段凄い柔らかいのに。笑

瑠:ええなんかごめん、ごめんよ…Aちゃんの事は好きよ…

A:わかってますよ!!笑
あ、それで私にとって男とはって話ですよね。

瑠:うんそうそう。

A:んーー……ごめんなさい、ちょっと本当に答えが出ない。

瑠:わー!むしろごめんね!!抽象的すぎた。

A:私の中でやっぱりお店で会う男の人と、プライベートで会うリア友の男の人だと、本当に皆別人なんですよね。

瑠:そんなに違う生き物なんだね。

A:全然!働いてる時は「男なんて嘘つきでケチで理解力がなくてヤルことしか考えてないバカ」って思いますけど、友達は皆んな優しいし、ていうか話してて不快じゃないし。だから、どの姿が本当の生き物なんだろうって分からないんですよね。

瑠:私もさっきみたいなこと、知り合いが女の子に言ってたりしたらショックだな。

A:ですよねー。言っててほしくない。でも、今って世の中女性に対して大分発言が慎重じゃないですか。すぐセクハラになっちゃうから。

瑠:確かにね。大変そうよね。

A:そうそう、でもアレもべつに悪気があって言ったわけじゃなくて、何も考えずに思った事を言ったらセクハラになるわけで。

瑠:うん。

A:私たちはセクハラというのを許されてる女であって。

瑠:サンドバッグ的な?

A:そうです!本当にそれです!普段言えない分を受け止めるサンドバッグ。だから仕方ない。

瑠:サンドバッグも壊れるものなんだから、受け止められる範囲にしておきなよ…?

A:ですねぇ。出来る限りダメージ受けない様にはしてますけど。あ、だからアレですよ。イライラした時瑠惟夏さんの曲聴いてますよ。ほら、「気に食わない汚いやつの〜♪」ってやつ。

瑠:「救済」か!!!(頭を抱える)

A:なんで頭抱えてんですか!!うける!!!笑

瑠:いやぁ、嬉しいよ…いや話し聞いててぴったりだなって思ってたけどさ…。

A:あれpv作ることになったら夜の女の子とかテーマにしたら良いですよ本当に。

瑠:んー、でもあながち間違いじゃないんだよね。私もあの曲、凄い良い人だと思ってた男の人に裏切られた話だから。

A:あーやっぱそうですか?めっちゃ分かる人には分かる曲ですよ。「気に食わない汚いやつの喉を切り裂くよりも微笑みながら生きていこう」って言ってますよね?

瑠:めっちゃ覚えとるやんけ。

A:だって本当悔しい時、超元気でますもん。CD持ってます通販で買いました。

瑠:え!知らなかった!てかAちゃんの本名知らないから気がつかなかった!!ありがたい!そういう男性に対して良い思い出よりもちょっとネガティブな記憶が増えていく仕事だと思うんだけど、男性に対して何か思うことってやっぱり夜の世界に入ってから増えたの?

A:そうですね。うん。増えました。そして慣れました。

瑠:たとえば?

A:やっぱ昼の女の子が知らない世界なんですよこっち側って。当たり前に終電を過ぎても既婚者はいっぱいいるし、今度外で会おうよだなんて言ってるパートナー持ちの人も溢れてるし、この前なんて今出産準備のために里帰り中で1カ月自由の身なんだーなんて言ってたし。そんな人達と毎日私たちはチューしたりしてんですよ。でもそれって絶対外じゃ言えないじゃないですか。悪いの分かってるから。

瑠:あー…聞きたくないけどそんなもんよねぇやっぱり。

A:そう、だからこれって男性の裏側なんですよね。見ちゃいけないやつ。ディズニーの裏側。

瑠:ねぇAちゃんってディズニー好きよね。例える時いつもディズニーだもんね。

A:大好きですよ!!てか夢くらいみたいですよ!いつも見れないんだから!!

瑠:つら!つら!!

A:男のスマホ見て良いことなんて一つもないって言いますけど、その中身の部分見てる感覚ですよね。嫁の悪口言ってたり、小遣いがどうだこうだとか、体型の変化がうんぬんとか、最近のやつらはあーだこーだとか。でウンウンって聞いててドリンク飲んで良いですかって言ったら大抵シラーっとするんです〜。

瑠:お店のドリンクって高いもんね、私でもこれはって思うわ。

A:まぁワイングラス1杯で2000円とかですからね。でもそのくらいかかるの分かってて来てるじゃないですか。1杯も出さない人ってそもそもだす気がないんですよね。嫁の悪口がとか小遣いがとか、それ言う前に貴方がこんなとこで使うのしってるからお小遣い減らしてるんだし、だから口も酸っぱくなるし、体型なんてあんた自分の腹見なさいよ!!って思いますよ本気で。

瑠:老いるのはお互い一緒だもんねぇ。

A:だから、男に対して夢を持つだなんてこと無理になりましたよ。

瑠:それを昼の人間が見ることは難しいもんねぇ。

A:まぁ悪いことだけ見たいなら、Twitterなら「#クソ客」って調べたら大抵人外なメンズを覗き見ることが出来ますよ。

瑠:あ〜〜それ私も文章書くときに前調べて思わず読みあさったわ。

ごめんねそろそろ多分締めたほうがよさそうな量になりそうなんだけど…

A:えぇ?!もう終わりですか?!まだめっちゃ男の人に言いたいこと沢山あるんですけども!!ええどうしよう。そうだなぁ…。

瑠:そしたらまた次回に話し持ち越そう!笑
んーと、じゃあ最後に今日話した話のまとめで、男性に言いたいことは?

A:えーと「ちょっとだけなら良いじゃんって言う漢は人間以下」ってことと「妊娠中に夜遊びできないのは女も一緒だし酒飲めるだけ幸せだと思え」ですかね?

瑠:お酒のくだりめっちゃ急だし!!笑

A:だってあまりにも多いから!!!笑笑
もうちょっとで生まれるから今しか遊べないとか!!ほんとに!!奥さんもう遊べてないんだけど?!って毎回言いたくて我慢するの大変なんです!!私今年で26になるので、地元の子たちが結婚し始めてるから尚更思うのかも。

A:あとは女の子に言いたいのは、どっかのタイミングで「ちょっとだけいいじゃん」なんて口滑らせる男は絶対ろくでもないからマジで気をつけてってことですね!!

なるほど、いやぁ凄い楽しかったよ!またお話し聞かせてください!お忙しい中ありがとうございました。

A:はい!ありがとうございました!