瑠惟夏の日記

日々の出来事を。

本を溜めることと売ること

札幌のライブを終えて、来てくれた身内(大学の同期や後輩、家族)に感想を聞いて回った。

 

その結果、多くの人は「上手くなった」「こんなに歌えるとは知らなかった」と嬉しいコメントが主だった。

 

ただ、私のことを良く知る(理解している)人には共通して言われたことがあった。

 

「もう少し、落ち着いて」

と言われた。

 

最初は何の事なのかは分からなかったが、どうやら私が必死に見えたらしい。生き急いでるとまで言われてしまった。

 

ゆっくりと自分の中でビールを飲みながら考えていたのだが、ホロホロしてきた頃にハッキリとしたのは、私は「心を休む」ということが出来ていなかった。

 

音楽を聴くにも、これは新曲の参考になりそうだ。とか、本を読むのもビジネス本ばかりで、空想の世界に浸ることを出来ていなかった。

 

体を休めてはいたが、何も考えないで純粋に楽しむ時間を作っていなかったことがわかった。

 

正確には「心の休め方を忘れていた」に近い。

 

後輩に言われたアドバイスとして「趣味を見つけて欲しい」と言われた。

 

たしかに歌を歌うまでは、歌が趣味だった。

 

だが今はそうではない。上を目指すものになった。だから、後輩が言うように趣味を見つけるべきだという言葉は、至極納得できた。

 

そこで、歌詞の世界観を広めるために私は空想する詩集や物語の本を読むことにした。

 

言われてからまだ3日目ばかりだけど、既に納得しながら本を読んでいる。

 

心が軽くなっているのが自分自身でも分かるくらいなので、非常に満足している。

 

「本を溜めることと売ること」とタイトルにあるが、私は本は溜めるタイプだった。

 

買って読み終わっても、売ることをせず蓄積していくばかり。

 

なんだか本が自分にとって思い出の塊のような気がして、それを手放すのは単に名残惜しかったのだ。

 

1月からルームシェアをする友人は、1冊買ったら1冊売る、というルーチンをしている。

 

最初はそれを見て、直感で薄情な奴だな、と思って見ていたけれど、

 

ゆっくり考えていたら、自分が読んで心が動かされたものを、他の人が手に取って回っていくという流れが、

 

とても美しいものに感じるようになった。

 

今私が読んでいる本は、もしかしたらパリでお髭を蓄えたおじさまが読んでいたのかも。

 

もしくは入院中の女性が、心を落ち着かせるために読んでいたのかも。

 

そう考えれば考えるほど、この循環がロマンチックに思えて、心が躍る。

 

今日は1人で、白菜の明太子マリネをつまみに白ワインを飲みながら、詩集を読んでいる。

 

あと20ページほどで読み終わるので、読み終わったら早速あの古びた古本屋にこの恋の詩集を売りに行こうと思う。